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無商館

静寂の狭間で独り言。

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LonelyPlanet-Viet Nam,HaNoi

Viet Nam,HaNoi

Bvlgari, Black Eau De Toilette Spray
河内,不败之花
如果累了,或许我会选择停留在这里。——摘自旅行日志,P71页。


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・・・つづきはこちら

1

北風が間もなく止む頃。今日の帝都も相変わらず通勤の路面電車が人混みになっていた。早春とは言え、気温が珍しく上がっていて、道沿いに植えている桜の木が芽生え、淡紅の蕾が点々と見える。
こんな風景を見る暇もない夏川冬臣が慌てて電車に乗り込んだ。就職三年目で一度も遅刻してない彼は今日、多分初めて遅刻することになるだろう。実は昨夜、久々に昔の夢を見ていた。昔田舎にいた夢、あの忌々しい火事の夢を、リアル的に見ていた。手の甲に残した傷がうずき、炎の中に中に消えて行く屋敷とばあちゃんが残した最後の言葉はどうしても脳に消えはしない。「きっとばあちゃんは僕のことを心配しているかな」と冬臣は考える暇もない、そのまま電車降り、神田町にある新聞社に入った。
「おはようござい...」とは言えず遅刻を発覚して声が小さくなり、冬臣が自分の机の上に置いたあるものを気付いた。周り同僚から密かに噂話をしている声が聞かれ、社内から痛々しい視線が妙に冬臣に集まってくる。それを無視して封筒のようなものを拾い、鋏で開き、中に入った文書を読もうとした冬臣が苦笑いし軽くかぶりを振った。
堂々と来たな…あまり驚きもなく冬臣は文書を読み終り、その紙を元に戻し、封筒に入れた。横の席に座っている山田さんは心配そうの表情で冬臣を訊ねってきた。同年先入社の冬臣とは違う、帝都内有名な高校を卒業した山田さんの筆が立つ、秀才とも呼べる彼は冬臣いまの心境をさすがに理解し難い。
「夏川さん、大丈夫ですか?顔色かなり悪いぞ。あれに何が書いたんですか?」先から雑談に混じりなく気を配ってくれた山田さん真剣な顔を見て、嘘も付けずに冬臣が答えた。
「実は京都支社の転職令だった、これ。」冬臣が小さなため息を吐いて呟いた。
「っえ⁈夏川さんは京都に?なぜですか⁈」突然のことに吃驚した山田さんは大きいな声を上がった。
「やっぱりあれは転職令だね」
「なんて夏川さんだよ」
「そっちはかなり暇だろうだから一番普通であんまり役に立たず夏川さんをそっちに与せっただけさ。」
「夏川さん可哀そう...」
「まあこの業界は実力で勝負だもんね」
...
事実だと確認した以上本人がこの場に居ても気にせず、先まで喋り声が小さい奴らは一気に声を上げた。冬臣の脳内はただ真っ白で一言もできなくなった。気まずいと感じられた山田さんは冬臣の袖を握り、慰めようとした時、内室から威厳ある声が聞こえた。
「夏川さん、どうぞ中へ」
編集長からの呼び出しだ。
室内の喋り声が一気に消え、何もなかったのよに静かになった。
「失礼します」
扉に一礼をして扉を開き、小心翼翼と足音を消して入ってきた夏川を見て、編集長の心境は複雑だった。
礼儀正しく好青年である夏川冬臣を京都にさせること自体、編集長は今でもほんの少し迷っている。でも京都支社は人手が足りないことも事実だし、人間関係の絡みが複雑である社内からひとりを選べ京都に行かすとならば、夏川は第一候補者であった。筆が立てるか立てないの問題だけではない、新たな地で優秀なる新聞記者を栽培したいという願いがある編集長は決心した。
「すまなかったな、夏川。京都に行かせてもらって」
「いえ、どんでもないです。しかし僕でよろしいでしょうか。僕の実力については承知致して...」
「いや、君がいい人材だ。確かに優秀な作品は今までは少なかっただけど、京都に行けばまた新しい才能が蘇るかもしれん。だからー」
「京都支社のこと、よろしく頼むっ」
編集長は席から立て、夏川に一礼をした。
いつも威厳ある編集長がこうしてくれるのは思いもしなかった。ここまで言われてくれて拒否することもできない。冬臣は頷いて冷静に答えた。
「はい、分かりました。では出発日はいつですか?」
「できれば早く行って欲しい。今日中もし荷物をまとめればすぐ京都行きの列車乗車券を用意してやる…いける?」
「今日中ですか?できれば頑張ってみます。」容赦もなく日付が決められ、時間の厳しさを考えて冬臣はまたいつも顔に浮かぶ苦笑をついにした。
「では今から出勤しなくでもよい、すぐ家に戻れ。夕方はもう一度こっちに戻って乗車券を取ればいい。あっ、転職令を忘れず持って行け、向こうにもうこの話を済んだ」
「はい、では行って参ります。」

長い一日になりそうだったね。帰りの電車で冬臣は乱れている心を整理し始めた。今朝の夢まるで何からの暗示で、ずっと思い出せたくない幼い頃の記憶が蘇らせた。
島根にある実家は当地では豊かな家であった。日本海から豊富な海の幸を頂いて、両親は小さな温泉旅館を営んでコク普通で幸せな家庭だった。旅館や漁業を両方見たてている両親はとても忙しいので、また赤ん坊である冬臣の世話役はばあちゃんに回した。ばあちゃんは一番上手なのは昔話の中から出ている妖怪話だった。それを毎日、毎日のように話ししてくれた。
「あなたはとても優しいの子だから、神様きっと守ってくれますよ」と、ばあちゃんはよくこうして喋っていた。
「この世に本当に神様や妖怪たちがいるのか」幼い冬臣はよくばあちゃんに問い掛けた。
「いるさ、うちの旅館だって昔は座敷童子が見えるとお客様から言われたのじゃ」ばあちゃんはこの話を自慢話してよくしてくれた。
それを深く信じている冬臣はいつかきっと見えると、旅館の中でずっと探していた。あの日までーー
あの日のできこともしなかったら、僕はいまどこで何をしているだろう。手の甲にあった火焼けの傷はまた小さく疼き始め、冬臣をうつつに引き寄せた。

「これは冬臣さんじゃないですか。今日は珍しく早帰りですね」大家さんの娘であるサナミさんが前庭で布団を干しているところ、帰宅の冬臣を見かけた。
「あっ、サナミさんこんにちは。ちょっと用事がありまして...実は...」
帝都中心から離れている所に狭い居室を借り、冬臣は大家さんと一緒に暮らして生活を送れている。最初の給料が少なかった時期も今も優しく接してくれた大家さんにどんなツラをすればいいのかかなり困っている様子。
「えっ?冬臣さんは京都へ転勤⁈」












冷泉龍正 その一

帝大文学部中退。華族冷泉家次男。家柄で縛られることが嫌で家から飛び出し帝都の闇に動く新文学運動に積極的参加し、とある秋の日の集会にて偶然その場で無理矢理連れされた春御坂秋篠と出会い、それは腐り縁とも言える友情のはじまりだった。
貴公子であった昔も今も、相変わらず暢気で活発的な性格。情熱家。小説には才能がないと言い出し、俳句や新短歌に力を精一杯尽くしているよう。
「人生は豪快で生きよう、恋は偲ぶこそ真髄。」という生き様だようだ。

夏川冬臣 設定その一

夏川冬臣。本社は帝都にある小さな新聞社の新聞記者。京都支社に転勤してきた26歳の北陸田舎出身。帝都大学に目指し上京したが、間もなく脱退。民俗学に大変興味を持ちしたようだが生活のため一生懸命働いてるので読書以外の時間なかなかありません。
幼年期事情不明な火事に遭遇し、座敷童子が見えると言われる木造実家は焼かれ、幼い頃両親と親愛なるばあちゃんを亡くした。その後転々と親戚が面倒を見てて成人まで育ってきた。

春御坂先生設定 その一

春御坂秋篠。本名不明。俗称春秋先生。京都風流派の若手作家。年齢22歳?。片方にメガネを付けるジェントルマン(紳士)。常に和服を纏っているが何故か西洋靴を履く。髪の色は一般人よりやや明るめが、目色は真っ黒。身に小さな金色のミッ鈴がついてる。黒ネコ一匹を飼っている、名前は鬼ノ丞。実はもう一つの身分を持つ、京都とある隠れ神社の神主である。
  

プロフィール

HN:
冷泉式部
性別:
非公開
自己紹介:
呼吸し息を感じて。
世界がこんな静寂の中に沈んで逝く。
けど、キミさえいれば。
たとえ暗闇の水底に朽ち果ても。
必ず逢いに行く。

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